痛みを和らげ、動ける身体を取り戻すために
当院では、診察や画像検査などを通じて痛みの原因を調べ、患者さん一人ひとりに合った治療をご提案します。
治療には、飲み薬や湿布、注射、リハビリテーションなど、さまざまな方法があります。
大切なのは、単に痛みを抑えるだけでなく、痛みの原因に向き合い、再発しにくい身体を目指すことです。
当院では、これらの治療を組み合わせ、患者さんが安心して日常生活を送れるようサポートしていきます。
注射による痛みの治療
注射治療は、痛みのある場所や炎症を起こしている組織、神経の周囲などに直接薬剤を届ける治療法です。
飲み薬や湿布だけでは十分に改善しない痛みに対しても、効果が期待できる場合があります。
当院では、一般的な関節注射やトリガーポイント注射に加え、神経ブロック注射にも力を入れています。
注射治療を受ける前に
注射治療は、痛みの原因となっている関節、腱、筋肉、神経の近くに薬剤を届けることで、痛みや炎症を抑えることを目的とします。痛みの原因や状態によって、1回で改善が期待できる場合もあれば、数回の治療やリハビリテーションとの併用が必要な場合もあります。
効果には個人差があります。注射直後に楽になる方もいれば、数日から数週間かけて変化を実感する方もいます。また、注射のみで原因が完全になくなるわけではないため、必要に応じて運動療法や生活指導を組み合わせます。
主な注意点
注射後には、一時的な痛み、腫れ、内出血、しびれなどが起こることがあります。まれに感染、出血、アレルギー、神経周囲の注射に伴う合併症が起こる可能性もあります。
以下に当てはまる方は、事前に必ずお知らせください。
・抗凝固薬や抗血小板薬など、血液をサラサラにする薬を内服している方
・出血しやすい、または凝固機能に異常がある方
・注射予定部位やその周囲に傷・はれ・膿など感染の疑いがある方
・発熱や体調不良がある方
・薬剤アレルギーの既往がある方
・妊娠の可能性がある方
状況によっては、治療を延期したり、別の治療法をご提案したりすることがあります。
関節内注射
膝や肩などの関節内に薬剤を注入する治療です。
変形性膝関節症などに対するヒアルロン酸注射や、炎症が強い場合のステロイド注射などがあります。
トリガーポイント注射
首や肩、腰などの筋肉に生じた痛みの強い部分に、局所麻酔薬などを注射します。
筋肉由来の痛みを和らげることを目的とした治療です。
神経ブロック注射
神経ブロック注射は、痛みに関係する神経の周囲に局所麻酔薬などを注入し、痛みの伝達を一時的に抑える治療です。
強い痛みが続いている場合や、飲み薬などで十分な効果が得られない場合に、有効な選択肢となることがあります。
神経ブロックにはさまざまな種類があり、痛みの原因や場所によって適切な方法が異なります。
当院では、超音波(エコー)やX線透視装置などを活用し、神経や骨の位置を確認しながら、正確性に配慮した治療を行っています。
① 仙骨硬膜外ブロック注射
お尻の上部にある仙骨裂孔から薬剤を注入し、腰から足にかけての痛みやしびれを和らげる治療です。
腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどによる症状に対して行います。
1.こんな症状の方に
腰からお尻、脚にかけて痛みやしびれがある方に検討する治療です。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などによる坐骨神経痛に対して、診察で適応を判断します。
2.ねらい
腰や脚へつながる神経の周囲に薬を届け、痛みをやわらげることを目指します。痛みを軽減することで、歩行や日常生活、リハビリテーションに取り組みやすくすることも目的です。
3.方法と所要時間
うつ伏せになり、お尻の中央にある仙骨の下端付近から、神経を包む膜の外側のスペース(硬膜外腔)へ薬を注入します。
注射自体は数分程度が目安です。注射後はベッドで安静にし、脚の力や歩行の状態などを確認してからお帰りいただきます。

注射のときの姿勢(イメージ)

注射する場所(模式図)
4.効果・注意点
腰や脚の痛みの軽減が期待できますが、効果や持続期間には個人差があります。神経の圧迫そのものを取り除く治療ではなく、しびれや筋力低下が十分に改善しない場合もあります。
注射後に一時的な脚のしびれ・脱力、ふらつきなどが生じることがあります。また、まれに出血、感染、薬剤へのアレルギーなどが起こることがあります。
血液を固まりにくくする薬を服用している方や、薬剤アレルギーのある方は、事前にお知らせください。お薬は自己判断で中止しないでください。
② エコーガイド下腕神経叢ブロック注射
首から腕に向かう神経の周囲に、超音波で神経や周囲の組織を確認しながら薬剤を注入する高度な治療です。
頚椎ヘルニア、頚椎症、頑固な肩こり(首こり)など、首周りのなんとも言えない痛み、しびれ、重だるさのある方に適応があります。
首の注射なので抵抗があると思いますが、エコーで神経や血管の位置を確認しながら実施します。効果には個人差がございますが、注射したその場から楽になることが多いです。
1.こんな症状の方に
肩から腕、手にかけて痛みやしびれがある方に検討する治療です。頚椎症性神経根症や胸郭出口症候群などによる痛みに対して、診察で適応を判断します。
2.ねらい
首から腕へつながる神経の束(腕神経叢)の周囲に薬を届け、痛みをやわらげることを目指します。痛みを軽減することで、日常生活やリハビリテーションに取り組みやすくすることも目的です。
3.方法と所要時間
当院ではエコー(超音波)で神経や周囲の血管、針の位置を確認しながら、神経の近くに局所麻酔薬を注入します。注射する場所は、症状や身体の状態に応じて選びます。
注射後は安静にし、体調や腕の状態などを確認します。所要時間や安静時間は、注射の方法や薬の効き方によって異なります。

注射の様子の一例(イメージ)

神経の周囲に薬を届ける模式図
4.効果・注意点
肩や腕の痛みの軽減が期待できますが、効果や持続期間には個人差があります。神経の圧迫そのものを取り除く治療ではなく、しびれや筋力低下が十分に改善しない場合もあります。
注射後に一時的な腕のしびれ・脱力が生じることがあります。当日は車や自転車の運転を控え、感覚が戻るまでは、やけどやけがにもご注意ください。
また、出血、感染、薬剤へのアレルギー、神経の障害などが起こることがあります。注射する場所によっては声のかすれや息苦しさが生じることがあり、異変を感じた場合はすぐにお知らせください。
血液を固まりにくくする薬を服用している方や、薬剤アレルギー、呼吸器の病気がある方は、事前にお知らせください。お薬は自己判断で中止しないでください。
③ X線透視下腰椎神経根ブロック注射
X線透視装置を使用し、痛みの原因となっている腰椎の神経根の位置を確認しながら薬剤を注入する治療です。
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などによる、強い下肢痛やしびれに対して行います。
痛みを和らげる治療としてだけでなく、どの神経が症状に関係しているかを調べる診断的な役割もあります。
専門的な設備と技術を必要とする治療ですが、当院ではこのような神経ブロック注射にも対応しています。強い痛みに対して効果が期待できる一方、効果には個人差があります
なお、ブロックの反応や画像所見、生活への影響を総合して、手術・別の治療・経過観察を提案することもございます。
この注射のみ、予約制で実施しております。
1.こんな症状の方に
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などにより、お尻から脚にかけて痛みやしびれがある方に検討する治療です。診察や画像検査で、症状の原因と考えられる神経を確認し、適応を判断します。
2.ねらい
腰の神経の根元(神経根)の周囲に薬を届け、痛みをやわらげることを目指します。注射前後の症状の変化は、痛みの原因となる神経を見極め、今後の治療方針を考える手がかりにもなります。
3.方法と所要時間
当院では予約制で行います。
うつ伏せになり、レントゲン透視で骨や針の位置を確認しながら、神経根の周囲に局所麻酔薬などを注入します。途中で脚に響くような痛みを感じることがあります。
注射後は院内で30分以上休んでいただきます。脚の感覚や力の入り具合、歩行の状態などを確認してからのご帰宅となるため、状態によっては安静時間が長くなることがあります。

透視を使う治療の様子(イメージ)

神経根の周囲に薬を届ける模式図
4.効果・注意点
脚の痛みの軽減が期待できますが、効果や持続期間には個人差があります。神経の圧迫そのものを取り除く治療ではありません。
注射後は一時的に脚のしびれや脱力が生じることがあります。当日は車や自転車の運転を控え、転倒にご注意ください。
また、出血、感染、薬剤へのアレルギー、神経の障害などが起こることがあります。血液を固まりにくくする薬の服用、薬剤・造影剤のアレルギー、妊娠の可能性がある方は、事前にお知らせください。お薬は自己判断で中止しないでください。
治療効果や注射後の状態を確認するため、原則として翌日の受診が必要です。強い痛みや脚の力の入りにくさが続く場合などは、翌日を待たずにご連絡ください。
リハビリテーション
注射によって痛みが軽くなっても、その原因がすべて解決するとは限りません。
例えば、膝の痛みには筋力低下や身体の使い方、腰痛には姿勢や生活習慣などが関係している場合もあります。
当院では、注射によって痛みを和らげるとともに、必要に応じてリハビリテーションを組み合わせ、身体の機能改善を目指します。
「痛みが減った」だけでなく、「また歩けるようになった」「好きなことができるようになった」。
そんな変化につながる治療を大切にしています。
