この記事を書いた人

日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
特に整形外科の分野に力をいれており、2026年夏頃に東京都西部地域でクリニックを開業予定。
目次
手根管症候群とは?
手首の骨と靭帯で囲まれた「手根管」というトンネルの中で神経(正中神経)が圧迫されることで起こります。親指・人差し指・中指にしびれやズキズキする痛みが出るのが特徴です。
- 明け方にしびれや痛みが強くなる
- 手を振ったり曲げ伸ばしすると少し楽になる
- 進行すると親指の筋肉がやせ、物をつまみにくくなる
- ボタンをかける・ペットボトルを開ける動作がしづらい
→早期に治療することで進行を防ぎ、日常生活の不便を減らせます。
原因
はっきりとした原因はわかっていませんが、以下が関与すると考えられています。
- 50〜60代に多く、加齢の影響がある
- 妊娠・出産、更年期などホルモン変化が関与
- 手首の酷使(手作業・パソコン・スマホ操作)
- 職業や生活習慣による繰り返し負担
→ライフスタイルや体質が重なると発症しやすくなります。
セルフチェック(ファーレンテスト)
簡単に自宅で確認できます。
- 胸の前で両手を合わせる
- 1分間そのまま保つ
- しびれが出る・もともとのしびれが強くなる場合は要注意
→該当する場合は整形外科での検査をおすすめします。
検査
症状に応じて以下の検査を行います。
- エコー検査:神経や周囲の状態を確認
- 神経伝導検査:電流を流して神経の伝わり方を測定
→原因部位を特定し、治療方針を決めます。
治療
症状の程度に合わせて段階的に治療を行います。
【保存療法】
- 安静にして手首を休ませる
- 装具(スプリント)で固定し安定させる
【ステロイド注射】
- 炎症や腫れを和らげる
- 効果が一時的な場合は繰り返し注射することもある
【手術療法】
- 圧迫している靭帯を切って神経の通り道を広げる
- 親指の筋肉がやせてしまった場合は腱移行術を行う
→適切な治療を選ぶことでしびれや痛みは改善が期待できます。
リハビリテーション
- 専門スタッフがストレッチや筋力トレーニングを指導
- 手術後の回復や日常生活への復帰をサポート
→治療からリハビリまで一貫してフォローします。
院長からのひとこと
「手のしびれは年齢のせい」と思って放置すると、回復が遅れることがあります。
日常生活に不便を感じたら、早めにご相談ください。
適切な治療とリハビリで多くの方が快適な生活を取り戻しています。
関連リンク
- 手術等での病院紹介について
- 注射治療について
よくあるご質問
Q
放っておいたら自然に治りますか?
A
軽症なら改善することもありますが、進行すると親指の筋肉がやせて回復しにくくなります。
Q
注射は何回も必要ですか?
A
効果が続かない場合は複数回行うことがあります。回数は症状を見ながら決めます。
Q
手術は怖いのですが…
A
小さな切開で行う手術が多く、日帰りでできる場合もあります。詳しくは医師にご相談ください。
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