この記事を書いた人

日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
特に整形外科の分野に力をいれており、2026年夏頃に東京都西部地域でクリニックを開業予定。
目次
オスグッド病について知っておきたいこと
オスグッド病は、成長期の子どもやスポーツをしている人によく見られる膝の障害です。膝の前側(膝のお皿の下あたり)に痛みや腫れが起こることが特徴です。適切に対応することで、症状を軽くしたり、早い回復を目指すことができます。
オスグッド病はどんな人がなるの? なりやすい人は?
オスグッド病は、10~15歳頃の成長期の子どもによくみられます。特になりやすいのはこんな方です:
- スポーツをしている(サッカー、バスケ、陸上などジャンプやダッシュが多い)
- 骨が急成長していて、筋肉や腱とのバランスが崩れやすい
- 膝への負担が繰り返しかかっている
成長期には、太ももの筋肉(大腿四頭筋)が強く引っ張られ、それが膝の下の骨(脛骨粗面)に負担をかけることで、炎症や痛みが起きやすくなるのです。
オスグッド病は大人でもなる?
基本的には成長期の子どもに多い疾患ですが、以下のようなケースでは大人でも痛みが残ることがあります:
- 成長期にオスグッド病があったが、しっかり治療せずに放置した
- 膝の下の骨の出っ張りが残ったまま成長
- 大人になってもスポーツ時に痛みが出ることがある
大人で膝に痛みがある場合、オスグッド病だけでなく腱炎や膝関節の他のトラブルの可能性もあるため、症状が続くときは整形外科を受診しましょう。
オスグッド病を放っておくとどうなる?
「そのうち治るかな…」と放置してしまうと、以下のリスクがあります:
- 成長が終わるまで痛みが慢性化する可能性
- 膝の下の骨が出っ張ったまま残る
- スポーツや運動で再び痛みが出やすくなる
- 重症化すると、剥離骨折につながることも
症状は多くの場合、成長の終了とともに改善しますが、痛みが強いときは適切なケアが重要です。
オスグッド病の治療方法は?
治療は基本的に「保存療法(手術しない治療)」で行います。
- 安静・運動制限:痛みがあるときは無理に運動しない
- ストレッチ・リハビリ:大腿四頭筋の柔軟性を高めて負担を軽減
- アイシング:運動後に冷やして炎症を抑える
- サポーター・テーピング:膝への負担を軽減する
- 痛み止め(必要に応じて):医師の指導で使用することがあります
症状が強い場合や長引く場合は、整形外科での診察・治療をおすすめします。
院長からのひとこと
オスグッド病は、成長期の子どもにとってよくある膝のトラブルの一つです。「また走りたい」「部活を休みたくない」という思いが強く、痛みを我慢して続けてしまうこともありますが、無理をすると回復が長引いたり、後遺症が残ることもあります。
当院では、お子さんや保護者の方の思いを大切にしながら、一人ひとりの状態に合わせたアドバイスや治療を行っています。「ただの成長痛かな?」と思っても、お気軽にご相談ください。
関連リンク
- 当院の整形外科診療について
- 成長期スポーツ障害への対応
- リハビリ・ストレッチ指導について
- 学生の膝の痛み特集ページ
よくあるご質問
痛みが強いときは無理をせず休むことが大切です。軽くなるまでは安静を心がけましょう。再開のタイミングは医師と相談しながら進めてください。
動くときに使うのは有効ですが、ずっとつけたままだと筋力低下につながることも。適切な使い方を指導いたします。
多くの場合、成長が落ち着くと自然に症状も改善します。ただし、無理をすると悪化するため、早めの対処が大切です。
ストレッチやアイシングが効果的です。当院ではご家庭でできる方法も詳しくご案内しています。