この記事を書いた人

日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
特に整形外科の分野に力をいれており、2026年夏頃に東京都西部地域でクリニックを開業予定。

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症は、骨の中のカルシウムやたんぱく質が減り、骨がスカスカになってしまう病気です。

骨の強さが下がると、ちょっとした転倒や体をひねっただけでも骨折しやすくなります。

特に背骨や足の付け根(大腿骨頸部)の骨折は生活に大きな影響を与え、入院や手術、長期のリハビリが必要になることもあります。

日本では高齢者の骨折による寝たきりが大きな問題になっており、骨粗しょう症の予防と治療はとても重要です。

  • 骨の量と質が減って骨がもろくなる病気
  • 背骨や足の付け根の骨折で寝たきりの原因になることも
  • 女性に多いが男性もかかる

→骨粗しょう症は「静かに進行する病気」です。早めに見つけて予防・治療を始めることが大切です。

主な症状

初期にはほとんど症状がないため、自覚しづらい病気です。

進行すると背中や腰の痛みが出たり、背が低くなったり、背中が丸くなることがあります。

これらは背骨の圧迫骨折が原因で起こります。

骨折をきっかけに運動量が減ると、さらに骨が弱くなり、次の骨折が起きやすくなるという悪循環に陥ります。

  • 初期は症状なしのことが多い
  • 背中や腰の痛み
  • 身長が低くなる、背中が丸くなる
  • 骨折を繰り返しやすくなる

→症状が出るころには骨量がかなり減っていることが多いです。検診で早めに状態を知ることが予防の第一歩です。

原因

骨は常に「壊される」と「作られる」を繰り返していますが、加齢や閉経をきっかけにこのバランスが崩れ、壊される量が多くなると骨粗しょう症になります。

また、運動不足や栄養不足、喫煙、飲酒など生活習慣の影響も大きいです。

  • 加齢や閉経によるホルモン変化
  • 運動不足や長期の寝たきり
  • 栄養不足(カルシウム・ビタミンD・たんぱく質)
  • 喫煙、過度の飲酒、痩せすぎ

→年齢だけでなく、生活習慣や体質も影響します。早めに見直すことで予防できます。

診断

骨密度検査(DEXA法)で骨の強さを調べます。

X線を使った痛みのない検査で、数分で結果がわかります。

また血液検査で骨の代謝状態を調べ正確な治療を行います。

  • 骨密度測定(DEXA法)
  • 血液検査(骨代謝マーカー)
  • レントゲンで骨折の有無を確認

→簡単な検査で骨の状態を知ることができます。60-70歳以降は一度チェックしておくと安心です。

治療

治療の基本は、生活習慣の見直しと薬物療法の併用です。

薬には「骨を壊すのを抑える薬」と「骨を作る薬」があり、骨密度や年齢、骨折の有無に応じて選びます。

  • 適度な運動(ウォーキング、スクワット、かかと落とし運動)
  • カルシウム・ビタミンD・たんぱく質を多く含む食事
  • 禁煙・節酒
  • 薬物療法(ビスフォスフォネート製剤、PTH製剤、抗RANKL抗体など)

→生活改善と薬を組み合わせることで骨折リスクを大きく減らせます。

予防

骨粗しょう症は予防がとても大切です。

特に若いうちから骨をしっかり作ることが将来の骨折予防につながります。

  • 牛乳、ヨーグルト、小魚、豆腐などカルシウムを多く含む食品をとる
  • 日光浴でビタミンDを作る
  • 適度な運動で骨に負荷をかける
  • 喫煙や過度な飲酒を避ける

→「食事」「運動」「生活習慣」の3本柱で骨を守りましょう。

院長からのひと言

骨粗しょう症は気づかないうちに進行し、骨折を起こしてから見つかることが多い病気です。

現在は何ともなくても、将来的に寝たきりや認知症の原因になってしまいます。早めに検査し、生活習慣の改善や薬でしっかり予防することで防ぐことができます。

ぜひ一度、骨密度を測って自分の骨の状態を知りましょう。

関連リンク

・骨密度検査のご案内

よくあるご質問

Q
どんな人が骨粗しょう症になりやすいですか?
A

閉経後の女性、家族に骨粗しょう症の方がいる人、痩せている人、喫煙・飲酒習慣のある人などです。

Q
薬は一生飲み続けるのですか?
A

骨密度や骨折リスクを見ながら数年ごとに薬を見直します。必要に応じて薬を切り替えたり休薬することもあります。

Q
運動はどれくらい必要ですか?
A

 1日30分程度のウォーキングが目安です。スクワットやかかと落とし運動も骨に刺激を与えて有効です。