この記事を書いた人

日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
特に整形外科の分野に力をいれており、2026年夏頃に東京都西部地域でクリニックを開業予定。
目次
頚椎症性脊髄症について知っておきたいこと
頚椎症性脊髄症は、首の骨やその周りの組織が年齢とともに変化し、首の中を通っている神経(脊髄)が圧迫されることで起こる病気です。
手足のしびれや動かしにくさが出て、進行すると日常生活に大きな影響を与えることがあります。
- 中高年に多い
- 手足のしびれや細かい作業の不自由さ
- 歩行のバランスが悪くなる
→ 首の骨の変化で神経が圧迫されることで起きる病気で、生活に支障が出ることがあります。
頚椎症性脊髄症の原因とは
首の骨の間にあるクッション(椎間板)が年齢とともにすり減り硬くなると、神経を圧迫しやすくなります。
また、首の骨に「とげ(骨棘)」ができることでも脊髄が圧迫されます。姿勢や過去のけがが影響することもあります。
- 加齢による椎間板の変性
- 首の骨のとげ(骨棘)ができる
- 姿勢の悪さ
- けがや体質による影響
→ 年齢や生活習慣が大きな原因となります。
症状はどう進行していくのか
初めは手足のしびれや細かい作業のしにくさから始まり、徐々に歩き方が不安定になったり、ボタンをかける・箸を使うなどの動作が難しくなってきます。
放置すると生活に強い制限が出ることもあります。
- 初期:手足のしびれ、細かな動作がぎこちない
- 進行:歩行のバランスが崩れる
- 重度:日常生活で介助が必要になることもある
→ ゆっくり進むことが多いですが、急に悪化する場合もあるため注意が必要です。
難病に分類されるのか?
頚椎症性脊髄症は整形外科でよくみられる一般的な病気で、国の難病指定は受けていません。
ただし、症状が重く進行する場合は専門的な医療機関での治療が必要になることがあります。
- 一般的な整形外科疾患
- 難病指定は受けていない
- 重症では専門的な治療が必要
→ 難病ではありませんが、放置せずに早めに受診することが大切です。
治るのかが気になる方へ
一度圧迫された神経は完全に元通りにならないこともありますが、治療によって症状を改善させたり進行を防ぐことは可能です。
軽症なら保存療法(薬やリハビリ)で十分対応できることもあります。
- 軽症:保存療法(薬、リハビリ)で対応可能
- 進行例:手術で圧迫を取り除き改善を目指す
- 早期に治療するほど回復しやすい
→ 早めに対応することで進行を防ぎ、生活の質を保つことができます。
リハビリの役割について
リハビリは保存療法でも手術後でもとても重要です。
姿勢を整え、首や肩の筋力を保つことで、神経への負担を減らし、症状の改善や再発予防につながります。
- 首や肩まわりの筋肉を鍛える
- 姿勢改善のトレーニング
- バランス訓練
- 手術後の機能回復と再発予防
→ リハビリは病気の進行予防と回復のために欠かせません。
手術を受けるタイミングとは
日常生活に支障が出たり、薬やリハビリだけでは改善が見られない場合に手術が検討されます。
代表的な方法は、首の骨の後ろを広げる「椎弓形成術」や前から支える「前方固定術」です。
- 保存療法で改善がない場合に検討
- 椎弓形成術や前方固定術などの手術法
- 手術後もリハビリと経過観察が必要
→ 症状が強い場合は、早めに手術を検討することが大切です。
院長からのひとこと
首の痛みが軽くても、手足のしびれや歩きにくさがある場合は注意が必要です。
「年齢のせいだから」と放置せず、早めに相談してください。
早期対応で症状の進行を抑えることができます。
関連リンク
- 当院でのリハビリテーションについて
よくあるご質問
はい。首の神経が圧迫されると、痛みよりもしびれが先に出ることもあります。
軽症であれば保存療法でも改善します。
進行が速い場合や生活に支障がある場合は手術が必要になることがあります。
早期であればリハビリで症状を抑えることができます。進行した場合はリハビリだけでは不十分です。
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